単なる宗教の物語かと思ったら全然違った。西部劇でもありアクションも素晴らしかった。エンディングでゴッドファーザーのガルシアと分かったときは感激した！

塩野七生「ローマ人の物語　キリストの勝利」を読んだ後に見たので、いろいろ深く考えさせられた。キリスト教は多神教の中に埋もれている時代には、彼らの神は多くの神々のひとつにしか見えない。彼らも「信仰の自由を認めてほしい」くらいのことしか言わない。しかし多数派になって権力を握ると、ある日突然態度を豹変させる。異教徒に向かって、「お前の信じている邪教を捨てろ」とはっきり要求し始める。これを拒めば、待っているのは追放か死あるのみだ。ただしキリスト教の側にも言い分はあるだろう。古代ローマにあこがれる人は多いが、当時の特権階級はごく一部にすぎず、多数は平民で、大多数は奴隷か解放奴隷だった。現世に希望を見い出せない彼らにとって、ローマ世界を悪と断じ、来世の幸福を説くキリストの教えは魅力的に映ったことだろう。この映画を見て感じたのは、キリスト教はギリシャ・ローマの遺産をごっそり乗っ取ったのではないかということ。たしかにキリスト教は、古代ギリシャ以来の学問を異教だとして否定する場面もあったし、この映画はその側面を主に描いている。しかし長年蓄積された数々の遺産を受け継いで、キリスト教に取り込むこともやっている。上記の塩野氏の本には、そのことがイヤというほど紹介されている。この作品は世界史に埋もれた悲劇のひとつに見えるが、見かけの地味さに惑わされてはいけない。一神教の原理が世界中を覆いつくそうとしている現代を生きる我々には、一度は見ておいたほうがいい重要な映画なのだ。これから国際社会で活躍する若い世代には、特にお薦めしたい。

歴史上の、残念は黒歴史を垣間見た気がしました。見て損は無い映画と思います。

生まれて来るのが千年早かった女性なのでしょう。時代と場所が違ってたらもっと成果を上げていたかも知れませんが、功績を後世に残す事無く歴史の闇に消えた研究者よりは恵まれてる気が。多神教とした日本って新興宗教が現れる欠点はあるが長期的に見れば賢い選択だったと感じる。

タイトル通りですが、コテコテの再現ドラマのような空気が特に序盤に強く流れていて視聴をやめようとすら思ってしまいました。最後まで見てある程度伝わる部分もありましたが、それでもかなり主題がぼやけているように感じます。ドラマや登場人物の心情に入り込んでいきたいのに、度々入る衛星からの空撮映像のような演出ですっと感情が離れて俯瞰的に見てしまう。あまり効果的ではないように思いました。人物が皆急にそれっぽいエピソードや宗教観、天文学等について語り始め、一生懸命台本を読んでいるように見えてしまう。人を描きたかったのか、激動の世相を描きたかったのか、けど邦題は都市名だし、うーん…という感じで、1本の映画としてはまとまりに欠けている印象です。

性別、人種、国籍、宗教、LGBTQなどは差別や争いの原因となることが多い中でも宗教はそれ自体が差別原因となるだけでなく、人種や性別による差別を内包していることも少なくないこの映画の中でもキリストを信じる者達は自分達が信じること以外は認めようとせず、命までも奪っているこれは自分と同じ考えを持つ大勢と行動を共にすると善悪の判断がつかなくなりやすいことを作品がうまく表現しており、暴動や戦争などで顕著に観られる行為作品に対する感想としては、真理に近づく為に意見を出し合う図書館で学ぶ者達に対して、同じ信仰を持つ者以外の言葉には耳を貸さない信者達の対比が良く出来ていた進化論など宗教と相容れない学問は多く存在するので、信仰を持っている人は一体どうやって自分を納得させているのか改めて考えさせられた作品でした

宗教や美術や天文学の描写などについては皆さん書かれていらっしゃるしおおむね同意なので省略します。※以下ネタバレあり。ラスト、二人があまりに違いすぎるものを見ている描写が印象的です。ダオスがヒュパティアと過ごした時間を思い出しているのに対して、ヒュパティアは最後の最後まで惑星軌道である楕円を見つめ続けている。この映画の総括とも言える対比描写が印象的で、悲しいシーンではありますが好きなシーンでもあります。

歴史ドラマは普段余り観ないが、4世紀のアレクサンドリアが舞台で、女性哲学者が主人公というのは珍しい。レビュアーの評価も比較的高いので、観てみることにした。感想の結論から言うと、観て楽しい映画ではない。一種の悲劇であっても、カタルシスがあるわけでもない。古代エジプトに、こんな人もいたのか、と感心するくらいだ。高校の世界史レベルでは、この人物は登場しない。しかしウィキには、「不完全な記述」として掲載されている。実在の人物だそうだ。本作を観るためには、当時のアレキサンドリアが置かれた時代背景を、最小限でも知っておく必要があるだろう。（以下、高校世界史の参考書より）エジプトは、前31年に女王クレオパトラがローマに敗北した以降、ローマの属州となっていた。エルサレムに誕生したキリスト教は、徐々にローマ帝国の版図に拡大した。4世紀前半の時点で、アレキサンドリアは、キリスト教かなり多く精神世界に影響を及ぼしていた地域と、それほどでもなかった地域との、ちょうど境目に位置していたようだ。本作のストーリーは、後391年に始まる。翌392年、テオドシウス帝がキリスト教を国教とした。と同時に、帝国内において、キリスト教以外のすべての宗教が禁止された。ただし、アレキサンドリアは帝国の属州であっただろうから、上記「帝国」に含まれるのか否かまでは調べていない。そして、テオドシウス帝死後の395年、ローマ帝国は東西に分裂し、アレキサンドリアは東ローマ帝国（ビザンツ帝国とも呼ばれる）に含まれることとなった。上記のように、本作の時代背景には、政治的、宗教的、文化的な大変動がある。本作によると、アレクサンドリアでは、エジプトの在来宗教を信ずる者、キリスト教徒、ユダヤ教徒は共存してきた。しかし、キリスト教徒の勢力が増大し、在来宗教を圧迫してキリスト教に改宗させるとともに、ユダヤ教徒を力で追放する。アレクサンドリアの長官・オレステス（行政や軍隊の長だろう）は、元ヒュパティアの教え子の一人だったが、彼も改宗せざるを得なかった。そして、改宗しないと迫害が及ぶ恐れがあるため、ヒュパティアに改宗を勧めるが、拒否される。ヒュパティアは、以前から積極的な発言を行う、現在で言う一種の言論人だったため、キリスト教徒に目を付けられ、武装した修道士集団に拉致されて殺される、というのが粗筋だ。私は、本作の意図は、古代において、現代科学にも通じる合理的思考を基本とする哲学を、命を張って守ろうとした人物がいた事を訴えたかったのだと思う。しかも、それが女性であったことが、現代のジェンダー思想に合致していると考えたのだろう。本作で惜しいと思うのは、ヒュパティアの個性が、今一つ明確に描き切れていないことだ。なぜ、あれほど天文学や哲学にこだわるのか。なぜ、形だけでも改宗しないのか。生き生きとした人となりが、感じられない。生い立ちや父からの影響などが語られたら、より説得力が加わったと思う。もっとも、4世紀の人なので、そういうことに利用できるような詳しい史料は残されていないのかもしれない。なお、一神教の残酷さを指摘したり、あるいは、反対に魔女狩りや宗教戦争を行ったのは本当の信仰者ではない、といった議論が、レビューに散見される。現代の視点に立ち過ぎた議論だと思う。現在私たちが恩恵に浴している近代人権思想は、たかだか数百年前に西洋で生まれたものだ。むしろ、時間的空間的には、それほど普遍的なものではない。（もちろん、思想的には普遍性があると思っているが）歴史上、残虐行為はそれこそ数限りなく行われてきており、なにも一神教に限ったことではない。日本でも、江戸時代いや明治初年まで、残虐な刑罰が行われていた。鋸引き、車裂き、獄門、さらし首・・・現代の感覚で、古代や中世の事象を云々しても、あまり意味がないように思う。観た後、あまりすっきりしない感覚が残るが、歴史ドラマが好きな方は、観ても損はない。

This intelligent film, based on the life of the astronomer, mathematician, and fifth century Stephen Hawking, Hypatia of Alexandria, brings into sharp relief two opposing forces :the slavish adherence to ancient orthodoxies and dogma, and the desire to think independently and seek the truth, to see the world with fresh eyes, even at the risk of overturning centuries of accepted belief, whatever the consequences. Rachel Weisz plays the central character, convincing both as a first class mind and object of desire, a woman smarter than any of the men in town, hungry for knowledge, even if it means rejecting the teachings of Ptolomy, and incurring the opposition of a talibanesque church. This well made film makes a historical episode entirely relevant to to our times : destructive religious fanaticism, book burning, oppression of women.. the need to think the unthinkable, and to regard the past as a ladder and not a chain....This isn't a simple science versus religion story, but one that challenges us to consider what type of world we wish to live in, where our beliefs will lead us, and what sort of people we wish to be.

Disappointingly dull, plodding movie preaching about the dangers of religious zealotry.Rachel Weisz is an elsewhere accomplished actress who whispers or mumbles almost inaudibly as a somewhat historical character, through most of this quasi-historicalish drama (spoiler: the Christians are the bad guys, some will be gratified to note). Mostly cartoonish characters, reminded me of Atlas Shrugged. Almost as bad.Except for a scene where several panicked people rush to grab and drop scrolls from the Library of Alexandria, the scenes of (senseless, mostly mob) violence, are most of what constitutes "action" in this film.